【管理栄養士監修】もやしにはどんな栄養があるの?もやしの栄養を最大限取り入れる調理法とは

もやしはヘルシーなので日々の食卓に取り入れたい食材の一つです。もやしには想像よりも多くの栄養が含まれているので、その栄養を逃がさない調理のコツを覚えておいしくいただきましょう。この記事では、もやしに含まれる栄養素と栄養を逃がさない調理法をご紹介します。

【管理栄養士監修】もやしにはどんな栄養があるの?もやしの栄養を最大限取り入れる調理法とは
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もやしに含まれる栄養とは?

もやしに含まれる栄養とは?

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もやしには食物繊維・カリウム・ビタミンC・葉酸などが多く含まれています。ふだんよく目にする緑豆もやし100g(可食部)に含まれる栄養成分は以下です。

■緑豆もやし可食部100g中に含まれる栄養成分
・炭水化物 2.6g
・たんぱく質 1.7g
・不溶性食物繊維 1.2g
・脂質 0.1g
・水溶性食物繊維 0.1g
・n-6系多価不飽和脂肪酸 0.03g
・n-3系多価不飽和脂肪酸 0.01g
・アスパラギン酸 460mg
・アルギニン 120mg
・バリン 85mg
・フェニルアラニン 85mg
・リシン 80mg
・ロイシン 71mg
・カリウム 69mg
・グルタミン酸 66mg
・イソロイシン 64mg
・ヒスチジン 50mg
・セリン 45mg
・トレオニン 42mg
・チロシン 37mg
・プロリン 32mg
・アラニン 30mg
・リン 25mg
・鉄 25mg
・グリシン 24mg
・パルミチン酸 20mg
・トリプトファン 17mg
・メチオニン 12mg
・n6リノール酸 10mg
・マグネシウム 8mg
・ビタミンC 8mg
・シスチン 7mg
・ナトリウム 2mg
・ナイアシン当量 0.6mg
・亜鉛 0.3mg
・ナイアシン 0.3mg
・パントテン酸 0.23mg
・αトコフェロール 0.1mg
・銅 0.08mg
・マンガン 0.06mg
・ビタミンB6 0.05mg
・モリブデン 55μg
・葉酸 41μg
・βカロテン当量 6μg
・βクリプトキサンチン 5μg
・βカロテン 3μg
・ビタミンK 3μg
・ヨウ素 2μg
・ビオチン 1.7ug
・ビタミンB1 0.04μg
・ビタミンB2 0.05μg

【参考】文部科学省:「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」

ここではもやしに含まれる主な栄養素が持つ効果をご紹介します。

食物繊維

もやしには水溶性と不溶性の食物繊維が含まれています。食物繊維には、整腸作用があり、生活習慣病の予防・改善にも効果があるとされています。
水溶性食物繊維は糖質の吸収をゆるやかにしてくれるため、食後の急激な血糖値の上昇が抑えられます。不溶性繊維は水に溶けにくく、腸を刺激して蠕動(ぜんどう)運動を活発にしてくれ、便通を促します。

カリウム

ミネラルの一種で、ナトリウムを排出してくれるため塩分の摂りすぎを調整してくれます。不足すると脱力感・食欲不振、筋無力症や不整脈などの症状に陥ることがあるようです。

ビタミンC

ビタミンは人の体が正常に機能するために必要な有機化合物です。体内で作られないものが多くあり、食べ物から摂取する必要があります。もやしに含まれるビタミンCは水溶性のビタミンで、体内のタンパク質の代謝に関わる働きをしています。

葉酸

水溶性ビタミンであるビタミンB群の一種である葉酸は、タンパク質や核酸(DNAやRNA)の合成関与し、細胞の生産や再生を助ける重要な栄養素です。また、ビタミンB12とともに、血液を作る働きがあります。

アスパラギン酸

アスパラギン酸はアスパラに多く含まれるアミノ酸の一種です。利尿作用があり、アンモニアを体外に排出してくれます。また、乳酸をエネルギーに変える手助けをするため、疲労回復に効果があるとも言われています。

n3系、n6系多価不飽和脂肪酸

もやしにはわずかですが、n3系、n6系多価不飽和脂肪酸が含まれています。n3系多価不飽和脂肪酸には、α-リノレン酸EPA、DHAなどが含まれます。n6系多価不飽和脂肪酸には、リノール酸、アラキドン酸、ガンマリノレン酸が含まれます。
それぞれ働きは違いますが、血圧や免疫系を調整したり、血液中のコレステロールを低下させたりアレルギーによる炎症を抑制したりする作用があります。動脈硬化や血栓の予防、認知機能改善効果も報告されています。

もやしにはどんな種類がある?

もやしにはどんな種類がある?

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もやしは人工栽培されているため、オールシーズン安定して食べることができる野菜のひとつです。もやしの栽培方法は光を遮断した室内で、豆を水に漬けて発芽させるというもので、水に漬けてからたった1週間で販売することができる水準まで育つ優れた野菜です。日本では主に3種類のもやしが食べられています。

大豆もやし

大豆もやしは、その名の通り大豆から作られるもやしです。先に大きな豆がついており、ほかの種類と比べてカリウムや食物繊維が豊富です。韓国料理のナムルやチゲに使用されているので、見たことがある方も多いでしょう。

緑豆(りょくとう)もやし

緑豆もやしは、緑豆という中国原産の豆から作られるもやしです。緑豆は別名青小豆とも呼ばれ、春雨の原材料にもなっています。白く太い茎が特徴で、みずみずしくクセのない味なので料理に使いやすいでしょう。日本のもやしのなかで、最も生産量が多い品種です。

ブラックマッペ(黒豆もやし)

ブラックマッペ(黒豆もやし)は、ブラックマッペという黒い豆から作られるもやしです。日本で古くから親しまれてきたもやしで、インドのナンを作る材料にもなっています。黒豆が持つ特有の甘味と、やや細めの茎が特徴的です。

もやしの栄養を逃さない調理方法

もやしの栄養を逃さない調理方法

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もやしは調理方法によって栄養素が逃げてしまうため、栄養を逃さないように調理することが大切です。ここでもやしの栄養を逃さない調理方法について紹介します。

下処理時の注意点

もやしにはビタミンCやカリウムなど、水溶性の栄養素が多く含まれています。そのため、長時間の水洗いは厳禁です。

炒める調理がおすすめ

長時間茹でる調理をしてしまうと、栄養素が流れ出てしまいます。なるべく栄養を損なわないためにも、油を使って炒める調理方法がおすすめです。

茹でる調理の場合の注意点

サラダに使う場合の下茹では短時間でサッとすませてしまいましょう。緑豆もやし、ブラックマッペ(黒豆もやし)を茹でるときは、サラダ油適量と塩ひとつまみを入れたお湯にもやしを入れ、再沸騰してから10~15秒程度でざるにあげれば十分です。大豆もやしは豆に火が通るように水から茹で、沸騰後1~5分程度で下処理をすませます。
お味噌汁やスープにもやしを使う際は、下茹でせずにそのまま使うことで、栄養素はもちろん、風味も保つことができます。

まとめ

もやしの種類と含まれる栄養素、栄養を損なわないおすすめの調理法を紹介しました。もやしには想像よりも多くの栄養が含まれており、ヘルシーなので日々の食卓にもぜひ取り入れたい食材のひとつです。茹ですぎることのないようにして、栄養満点のもやしをいただきましょう。

プロフィール

監修者:藤井歩

監修者:藤井歩

管理栄養士
大学卒業後、管理栄養士として高齢者福祉施設での給食管理業務、企業での特定保健指導、栄養講座講師、栄養指導ツール開発などの業務に携わる。
その後はフリーランスとなり、オンラインでのダイエット指導、特定保健指導、レシピ作成、コラム執筆など、栄養に関するさまざまな業務に携わっている。