【管理栄養士監修】玉ねぎの栄養ってどんなものがある?種類によって栄養も違う?
炒め物やスープ、サラダなど幅広い調理ができる玉ねぎは、日頃から使う野菜として家に常備しているという家庭も多いのではないでしょうか。今回はそんな玉ねぎの旬の時期や栄養素、種類別での栄養の違い、おすすめの調理方法についてご紹介します。
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玉ねぎの旬はいつ?

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玉ねぎは、比較的安定して1年中販売されている野菜のひとつです。しかし、玉ねぎの栽培に適した温度は15~20℃前後のため、ある程度暖かい気候を持つ地域が産地になっています。そのため、北海道は春に種をまいて秋に収穫、ほかの地域は秋に種をまいて春から初夏にかけて収穫をしています。冬の時期でも玉ねぎが食べられるのは、秋に収穫した北海道の玉ねぎを冷蔵貯蔵して出荷しているためです。
玉ねぎは、根や葉の部分が枯れると「休眠」という状態に入り、栄養価が落ちにくくなります。この休眠と冷蔵保存を組み合わせることで、出荷時期を調整しています。
玉ねぎを日持ちさせる方法。新玉ねぎの場合の保存方法も玉ねぎといえば、毎日の料理で必ずといってよいほど使う野菜です。常備しているというご家庭も多いでしょう。しかし、まとめ買いをしていると、意外に早く傷んでしまうこともあります。この記事では、玉ねぎを日持ちさせる保存方法から、新玉ねぎとの違い、良い玉ねぎの見分け方までご紹介します。
玉ねぎに含まれる栄養とは?

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玉ねぎにはミネラルやビタミン、たんぱく質など一般的な成分はほとんど含まれていません。いわゆる三大栄養素をみてみると、炭水化物は100gあたり8.4g、たんぱく質は1g、脂質にいたってはわずか0.1gで、中くらいの玉ねぎ(およそ170g程度)丸々1個を食べても1日の必要量(たんぱく質なら60g)にはとても届きません。ビタミン類も、取り立てて多く含んでいるわけではありません。しかし、それ以外の特定の栄養が豊富に含まれているのです。その代表的なものが、硫化アリルとケルセチンです。
硫化アリル
ユリ科の植物に特有の「硫化アリル」は、玉ねぎ特有のニオイと辛味の元です。玉ねぎを切ったときに涙が出るのも硫化アリルの影響で、そのほかに血液をサラサラにしたり、交感神経を刺激して体温を上昇させたりするという主旨の論文が発表されています。加えてビタミンB1の吸収しやすいため、豚肉や大豆などと一緒に調理するのがおすすめです。
ケルセチン
ケルセチンはポリフェノールの一種で、玉ねぎの皮に近い部分に含まれている色素成分です。抗酸化作用があり、健康を守るのに効果があるとする報告があります。
その他の栄養素
上記2つのほか、玉ねぎで特筆されるのはカリウムと食物繊維です。
カリウムは体内の水分調節の役割を担っており、生きていくうえで欠かせないミネラルのひとつです。1日に約2500mgが必要とされていますが、玉ねぎには100gあたり150mg含まれていますから、中くらいの玉ねぎ1個で必要量の10分の1程度を賄える計算になります。カリウムは通常の食事をしていれば不足することはあまりないですが、ナトリウムを体外へ排泄する作用があるため、高血圧の予防に効果があると言われています。
玉ねぎには食物繊維も豊富で、100gあたり1.5gあり、こちらも中くらいの玉ねぎ1個で1日の必要量の10分の1程度を担います。中でも水溶性食物繊維の一つであるイヌリンを多く含んでおり、腸内環境を整えることが期待できます。
【管理栄養士監修】たまねぎのたんぱく質はどれくらい?含まれる栄養素の働きについてもご紹介どんな料理にも欠かせない万能食材・たまねぎ。そんなたまねぎにはどれくらいたんぱく質が含まれているか知っていますか?この記事では、たまねぎに含まれるたんぱく質のほか、含まれる栄養素の働きについて解説しています。
玉ねぎは種類によって栄養に違いがある?

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一口に玉ねぎといっても、サラダによく使われる新玉ねぎや紫色の玉ねぎなど、いくつか種類があります。ここでは日本で食べられている代表的な玉ねぎを紹介します。
黄玉ねぎ

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日本で最も多く出回っている玉ねぎです。明治時代にアメリカから北海道に輸入された「イエローダンバース」という品種の玉ねぎが元となっており、現在では地域にあわせてさまざまな品種が栽培されています。辛味が強く、加熱することで甘味や旨味が出るという特徴があります。日持ちするため、収穫後は1カ月程度乾燥させてから出荷されます。
新玉ねぎ(白玉ねぎ)

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新玉ねぎは、外側も内側も透明な白い色をしているため白玉ねぎとも呼ばれます。黄玉ねぎに比べると水分が多く含まれているものの、栄養的には大きく違いはありません。春先のみ出回り、辛味が少ないという特徴があります。生のまま葉物野菜と一緒にサラダとして食べるのがおすすめです。
紫玉ねぎ(赤玉ねぎ)

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紫玉ねぎや赤玉ねぎ、レッドオニオンと呼ばれる赤紫色の玉ねぎは、アントシアニンという色素が多く含まれています。アントシアニンはブルーベリーにも含まれる色素で、抗酸化作用が期待できます。新玉ねぎと同様、辛味が少なく、生で食べるのに向いています。サラダの彩りとして利用されます。
玉ねぎの栄養を逃さない調理方法

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最後に玉ねぎに含まれる栄養を逃さない調理方法を紹介します。
まず、玉ねぎの辛味を薄めるために水に長時間さらすのは避けましょう。玉ねぎに含まれる栄養は、水に溶け出してしまいます。辛味を消したいときは、切った状態でしばらく空気に触れさせておくようにしましょう。硫化アリルがアリシンと呼ばれる物質に変化し、辛味が抜けます。
また、玉ねぎは火を通すと甘く美味しくなりますが、熱に弱い栄養素は壊れてしまいます。火を通して食べるだけでなく、生でも食べるようにすれば玉ねぎの栄養をしっかり摂ることができます。
【料理家監修】玉ねぎの切り方に繊維はどう関係する?切り方ごとの適した料理も紹介さまざまな料理に使われる玉ねぎ。薄切りやみじん切りなど、きちんと切り方を使い分けていますか?また繊維に沿って切るか、繊維を断つように切るかでも、食感や甘味が異なります。この記事では、玉ねぎの切り方と適した料理について詳しくご紹介します。
まとめ
玉ねぎは種類が豊富で、アントシアニンなど品種によって栄養素が違います。また、よく見る玉ねぎは一般的な栄養素は少ないものの、健康を守るために役立つ栄養素が含まれています。最近は通常の黄玉ねぎだけでなく、サラダに適した新玉ねぎや紫玉ねぎなども簡単に手に入るようになってきています。玉ねぎを生で食べることで得られる栄養素も多いので、ぜひいろいろな種類の玉ねぎを手に取ってみてください。
プロフィール

監修者:藤井歩
管理栄養士
大学卒業後、管理栄養士として高齢者福祉施設での給食管理業務、企業での特定保健指導、栄養講座講師、栄養指導ツール開発などの業務に携わる。
その後はフリーランスとなり、オンラインでのダイエット指導、特定保健指導、レシピ作成、コラム執筆など、栄養に関するさまざまな業務に携わっている。