【管理栄養士監修】水菜にはどんな栄養が含まれている?栄養を逃さない調理方法

水菜は一年中食べることができ、ミネラル、葉酸、食物繊維やビタミンなどの栄養をたっぷりとバランスよく含んだ緑黄色野菜です。調理の際にちょっとしたことを気を付けるだけで効率よく栄養を取ることができます。そこで、今回は水菜の栄養や調理方法、保存方法についてご紹介します。

【管理栄養士監修】水菜にはどんな栄養が含まれている?栄養を逃さない調理方法
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水菜ってそもそもどんな野菜?

水菜ってそもそもどんな野菜?

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「水菜」は、畑の畝間(うねま)に水を引き入れて栽培したことが名前の由来となったとする説があります。水菜は京都が原産地であることから「京菜」とも呼ばれています。水菜の一種である「壬生菜(みぶな)」は古くから京都を中心に栽培されています。歯ざわりのよさやあくの少なさからサラダや鍋の具材として取り入れられることが多い野菜です。水菜は水耕栽培のため、年間を通して店頭に並んでいますが、本来の旬は12〜2月頃です。

水菜の糖質やカロリーはどのくらい?

ほとんどが水分でできていそうな水菜ですが糖質量やカロリーはどのくらいあるのでしょうか。
水菜の生のままと茹でたときの100g中の糖質量・カロリーを見ていきましょう。

■水菜100g中の糖質量
・生:1.8g
・ゆで:1.1g

■水菜100g中のカロリー
・生:23kcal
・ゆで:22kcal

生とゆででは大きな差はありません。低カロリーでダイエット中でもそれほど気にすることなく取り入れることができるでしょう。

水菜に含まれる栄養とは?

水菜に含まれる栄養とは?

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水菜は色や繊細な見た目から淡色野菜と思われがちですが、実は緑黄色野菜のひとつです。「緑黄色野菜」とは「可食部100g当たりのβ-カロテン量が600μg以上の野菜」のことです。
水菜は100g中1,300μgと基準値の2倍以上のβ‐カロテンを含んでいることから緑黄色野菜に分類されます。

水菜にはほかにも、ミネラルであるカリウム、カルシウム、鉄やなどのミネラル、葉酸、や食物繊維、ビタミンCやビタミンEなど、さまざまな栄養をバランスよく含んでいます。

β-カロテン
β-カロテンは体内でビタミンAに変換されます。皮膚や粘膜を丈夫にしたり、免疫力強化をしたりする働きがあります。

カリウム
カリウムは細胞の浸透圧を調整してくれます。ナトリウムの吸収を抑制させ排泄を促すことから、むくみの解消や血圧を下げる効果があります。

カルシウム
一般的に含有量が多い野菜と言われている小松菜の約1.2倍含まれています。カルシウムには骨や歯を丈夫にする働きがあります。カルシウムをより効率的に吸収するためにはビタミンDと一緒に摂ると良いでしょう。


私たちの体に必要な鉄分は不足しやすい栄養です。鉄は全身に酸素を運んだりさまざまなエネルギーの代謝にかかわります。効率的にエネルギーを生産してくれるので疲労回復や免疫機能の向上につながります。また女性に多い貧血にも関係してくるので積極的に摂取しましょう。

ビタミンC
ビタミンCに関してはレモンの半分以上も含んでいます。コラーゲンの合成を促す効果の他、鉄分の吸収サポート、ストレスや風邪に対する免疫機能の向上などが期待されます。また、老化を予防するなど抗酸化作用があるため美容の面でも注目されています。

水菜よりも栄養素の含有量が多い野菜はたくさんありますが、水菜は生で食べることができるので、熱に弱く水に溶けだしやすい栄養もしっかりと摂ることができます。



水菜の栄養を逃がさないで食べるコツ

水菜の栄養を逃がさないで食べるコツ

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選び方

スーパーで選ぶ時は、みずみずしくて葉の緑色が濃く、葉先までピンとまっすぐになっていてハリのあるものを選びましょう。また、根元から痛むので、根元が変色しているものや、葉がしおれていたり、茎がつぶれていたりするものは避けましょう。

洗い方

水洗いを行うときは水にさらしすぎないようにしましょう。

水菜に含まれている葉酸やビタミンⅭは水溶性ビタミンなので水にさらす時間が長いと栄養素が流れ出てしまいます。

根元に土や虫が入り込んでいることがあります。ボウルに水を張り、根元の部分の茎と茎の間を広げてしっかりと洗いましょう。カット前に洗うのがポイントです。

調理のポイント

特徴であるシャキシャキとした歯ごたえを残すことがポイントです。また、含まれる栄養素を活かすためには水にさらしすぎない、加熱しすぎないようにしましょう。加熱しすぎると水菜の葉の色が悪くなり、栄養も流れ出てしまうので、加熱は最小限にしましょう。癖が少なく柔らかいので、そのままサラダにも使えます。ビタミンⅭは水に溶けやすく熱に弱いのでサラダなど、生で摂取すると効率がよいです。

鍋やみそ汁など汁ごと食べる料理であれば、水に流れてしまったビタミンⅭなどの栄養素もしっかりと摂ることができます。脂溶性の栄養素であるβ-カロテンは油炒めなど、オイルと一緒に摂ると吸収率が上がるとされています。加熱にさえ気をつければ、さまざまな調理に使用できるのが水菜の魅力です。

保存方法

水菜は傷みが早く、あまり日持ちしません。葉先を乾燥させないように新聞紙やキッチンペーパーで全体を包んでからビニール袋に入れ、野菜室や冷暗所に保存しましょう。

葉先に水をかけてしまうと傷みやすくなるので洗わずに包みましょう。1週間程度であれば十分に保存できます。

カットして保存したい場合は、食べやすい長さに切り、水に1~2分さらして水気をしっかり取ってからキッチンペーパーを敷いた容器に保存してください。上からもキッチンペーパーをかぶせて蓋をし、冷蔵庫へ入れましょう。キッチンペーパーが濡れてきたら取り替えてください。約10日保存することができます。

また、冷凍保存も可能です。食べやすい大きさに切り、水に1~2分さらして水気をしっかりと取ったらビニール袋に入れて空気を抜いて冷凍してください。凍ったまますぐに調理に使えて便利ですし、約1カ月程度保存することができます。

まとめ

1年中食べることができる水菜は簡単に調理に取り入れることができるだけでなく、ミネラル、葉酸、食物繊維、ビタミンCやビタミンEなどの栄養をたっぷりとバランスよく含んだ緑黄色野菜です。調理の際は水にさらしすぎたり加熱しすぎたりしないようにする必要がありますが、サラダや鍋の具材などさまざまな調理方法で楽しめます。また、少しの工夫で長期の保存も可能となるので、ぜひ日常生活に取り入れてみてください。

プロフィール

監修者:遠藤 莉菜

監修者:遠藤 莉菜

管理栄養士。
管理栄養士専攻の大学を卒業し、管理栄養士国家試験資格を取得。化粧品会社に入社し、エステの施術や化粧品・サプリメントの販売を行うが、管理栄養士の資格を活かすため転職。現在は特別養護老人ホームの管理栄養士として高齢者の食事管理を行っている。
また、日本栄養士会認定栄養ケアステーションにも在籍し、休日などは時間を作り地域の栄養相談や栄養セミナーなどさまざまな栄養活動のサポートを行っている。