【管理栄養士監修】山芋・長芋にはどんな栄養がある?効果的な食べ方についても紹介

「とろろ」「口の周りがかゆくなる」「お好み焼きに入れるとふわふわになる」など、山芋のイメージは人それぞれです。さまざまな料理に使える身近な食材の山芋ですが、意外と知らないことも多いのではないでしょうか。この記事では、長芋・大和芋などの山芋の種類や栄養価、成分、さらにおいしい食べ方について紹介します。

【管理栄養士監修】山芋・長芋にはどんな栄養がある?効果的な食べ方についても紹介
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山芋の種類は1つじゃない?

山芋の種類は1つじゃない?

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わたしたちが山芋と呼んでいるものが、実は一種類ではないことをご存知でしょうか。まず、正確には山芋という品種自体は存在しません。山芋とはヤマノイモ科に属する芋類の総称なのです。
日頃、スーパーでもよく見かける長芋に加えて、つくね芋やいちょう芋などの大和芋、さらに自然薯などもまとめて山芋と呼びます。

長芋・大和芋・自然薯など、山芋類に含まれる栄養や効能とは?

山芋に含まれる栄養や効能とは?

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まずは、山芋の中でも特に食卓に並びやすい長芋を例に、主な栄養素を紹介します。

たんぱく質

長芋には、良質なたんぱく質やビタミンB群、ビタミンCなども含まれています。特にたんぱく質が豊富で、100g中2.2g含まれています。100gの豆乳に含まれているたんぱく質が3.6gであることを考えると、6割程度の量になるので少なく感じますが、天下の大豆製品に肉薄するだけのたんぱく質を含んでいる製品はそこまで多くはありません。例えば、他の野菜と比べるとレタスの4倍、トマトの3倍のたんぱく質が含まれています。

カリウム・マグネシウム

長芋はカリウムやマグネシウムなどのミネラルも多く含んでいるため、高血圧予防に効果が期待できます。具体的には高血圧予防に効果があるとされるアボカドの半分程度の量がですが、長芋はすりおろすことでアボカドよりも量を食べることができるため、実際の摂取量はアボカドを上回ることも珍しくありません。

その他の栄養素

消化酵素を多く含むのも山芋の特徴です。胃もたれ解消や胃腸機能の回復にも役立ちますし、山芋は消化酵素アミラーゼによりでんぷんの一部が分解されるため、生でも食べられます。

このように、長芋には良質なたんぱく質やミネラル類も多く含まれています。それでは、山芋類の仲間である、大和芋や自然薯の栄養素は長芋と比べて違いがあるのでしょうか?

大和芋も自然薯も、長芋と同じ山芋の仲間であるため、含まれる栄養素自体に大きな違いはありません。もう少し詳しく自然薯と大和芋、長芋の違いを見てみましょう。

カロリー

ひとつ顕著に違うのは、カロリーです。長芋の100g当たりのカロリーは65kcalです。大和芋は123kcal、自然薯は121kcalなので、長芋に比べてどちらも2倍近いカロリーがあります。

たんぱく質

たんぱく質を見てみます。長芋は100g中2.2gも含まれており他の野菜と比較しても高い割合であると説明しましたが、大和芋にはさらにその上をいく4.5gも含まれています。自然薯の含有量は2.5gです。
ちなみに、同じ山芋類のいちょう芋にも同量の4.5g含まれています。つまり、山芋類の中では、大和芋といちょう芋のたんぱく質含有量は突出して高いといえます。

カリウム・マグネシウム

カリウム、マグネシウムはどうでしょうか。カリウムは長芋、大和芋、自然薯の順に、430mg、590mg、550mgで、それほど大きな差はありません。マグネシウムは17mg、28mg、21mgで、大和芋がもっとも高く、長芋の約1.6倍です。

炭水化物

ダイエットに興味のある方は炭水化物の含有量も気になるかもしれません。長芋の炭水化物含有量は100gあたり13.9g、大和芋は27.1g、自然薯は26.7gで、長芋がもっとも少なくなっています。

アミノ酸

もうひとつの注目点として、アミノ酸含有量を見てみます。長芋のアミノ酸含有量合計は1,700mgです。いっぽう大和芋と自然薯の含有量合計はそれぞれ3,300mg、2,000mgで、大和芋がもっとも高い数値です。
長芋と比較すると約2倍もの違いです。含まれているアミノ酸の種類はほぼ同じなので、アミノ酸の量自体が多いということです。
どんなアミノ酸が含まれているのか、長芋と大和芋だけで比較してみましょう。たとえば代謝の活性化に関与しているアルギニン含有量は長芋の190mgに対して大和芋は570mg、肝臓での解毒作用に関わりを持つグリシンは長芋58mgに対して大和芋は120mg、神経伝達物質や皮膚のメラニンなどに関係する成分の合成原料であるチロシンは、長芋の41mgに対して大和芋には120mgも含まれています。

このように同じ山芋類でも、それぞれに含まれる成分量を見てみると、その数値は大きく違っていることがわかります。

【参考】文部科学省:「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」

山芋の栄養がたっぷりになる旬はいつ頃?

山芋の栄養がたっぷりになる旬はいつ頃?

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ヘルシーで栄養満点の山芋。では、その旬はいつ頃なのでしょうか。

山芋の旬

山芋全体としては10月~3月が旬の時期となります。中でも長芋の収穫は年に2回行われており、春堀り・秋掘りと呼ばれています。種類別には、以下の通りとなります。

・長芋:11月下旬~12月(秋掘り)・4月~5月(春掘り)
・大和芋:10月~3月
・自然薯:11月~1月

基本的には一年中、市場に出回っている食材です。そのため、いつでも手軽に食べられますが、旬の時期には、おいしく栄養たっぷりの山芋を積極的に食事に取り入れていきたいものです。
そこで、新鮮な山芋の見分け方を紹介します。お店で選ぶ時の参考にしてみてください。

新鮮な山芋を選ぶポイント

丸ごと一本の状態で売っているなら、皮に張りとツヤがあるものを選びましょう。ずっしりと重みがあり、太くまっすぐなものがおすすめです。さらに、ヒゲが少ないものを選ぶとよいでしょう。このような山芋は新鮮です。
カットされた状態で売っている山芋は、切り口に注目してください。断面が白くて、みずみずしさを保っているものがおすすめです。あとは太いものを選びましょう。

山芋の栄養を逃がさない食べ方

山芋の栄養を逃がさない食べ方

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山芋は調理の仕方によって食感が変化します。一方、調理法によっては栄養価を損なってしまう場合があります。ここでは食べ方別に、おさえておきたい調理法のポイントを紹介します。

生で食べる

やはり生食は山芋に含まれる栄養素を損なうことなく摂取できます。すりおろして食べるのはもちろん、細く切ってサラダや和え物として使ってもよいでしょう。短冊状に切った山芋に、つぶした梅干しやわさび醤油などを和えれば、おいしいおつまみの完成です。
生で食べる時は、皮をむいたらすぐに酢水にさらして変色を防ぎましょう。10分程度、浸けておいてください。

火を通して食べる

「生で食べましょう」と言われることが多いのは、山芋に含まれる消化酵素が非常に熱に弱いためです。しかし、加熱することで食感や味わいが変化し、生とは違ったおいしさを楽しむことができるのも山芋のよさです。
例えば、輪切りにしてバターで炒めたり、ステーキ風に焼いたりすることで、ほくほく感が出ますし、すりおろした山芋を加熱すれば、ふんわりとした味わいも楽しめます。お好み焼きやグラタンなどに活用してみてください。
また、揚げ物としても山芋のおいしさは折り紙つきです。山芋(長芋)は、ほかの芋類と比べても糖質が低いので、油を使った料理もおすすめです。フライや天ぷらはもちろん、とろろ状にしたものを他の野菜と混ぜてコロッケにしてもおいしく食べられます。

生でも焼いても、揚げてもおいしく食べられる山芋。山芋の栄養を丸ごと摂取したい場合は、ぜひ生のままで食べてみてください。また、調理する場合はさっと炒める、さっと酢水に浸すなど、「さっと」を意識するとよいでしょう。加熱や水に弱い栄養素も減りにくくなります。加熱して食べる場合でも、食感や味わいの違いを楽しめますので、さまざまなレシピを活用して、山芋をおいしく食べましょう。

まとめ

山芋の栄養を効率的に摂取する食べ方やいくつかの調理法、その際のポイントも簡潔に解説しました。生でも、加熱しても食べられる山芋は、栄養も豊富でヘルシーな食材です。お気に入りの食材の1つとして、ぜひ山芋を日頃のお料理に取り入れてみてください。

プロフィール

監修者:藤井歩

監修者:藤井歩

管理栄養士
大学卒業後、管理栄養士として高齢者福祉施設での給食管理業務、企業での特定保健指導、栄養講座講師、栄養指導ツール開発などの業務に携わる。
その後はフリーランスとなり、オンラインでのダイエット指導、特定保健指導、レシピ作成、コラム執筆など、栄養に関するさまざまな業務に携わっている。