山芋の糖質はどのくらい?カロリーや食物繊維などの栄養についても品種ごとにご紹介
生でもとろろにしてもおいしい山芋。山芋とは、長芋や自然薯など、ヤマノイモ科に属する芋の総称です。多くの山芋が100g中20gを超える糖質を含みますが、少量で満腹感が得られるため、食べ過ぎなければヘルシーな食材です。この記事では、山芋に含まれる糖質やカロリー、食物繊維などの栄養素について、品種ごとにご紹介します。
- 公開日:

山芋という品種は存在しない

Emily Li/Shutterstock.com
山芋といえば細長く、すりおろすととろろになる芋をイメージすることでしょう。しかし実は、山芋という種類の芋は存在しません。山芋とは、ヤマノイモ科に属する芋の総称なのです。
では、ヤマノイモ科に属する芋にはどのようなものがあるのでしょうか?有名どころでいえば、「長芋」や「自然薯(じねんじょ)」が当てはまります。ほかにも「いちょう芋」や「つくね芋」といった芋がヤマノイモ科に属しており、これらが店頭では「山芋」という名前で販売されているのです。これらのうち、もっとも市場に出回っているのは長芋で、山芋の2/3を占めるといわれています。
山芋の特長とは?
山芋は芋類の中で唯一、火を通さずに食べられる芋です。生で食べられるのは、デンプンを分解し、吸収を促進するアミラーゼという消化酵素が含まれているためです。消化酵素にはデンプンの吸収を助けてくれる効果があるので、生で食べても胃もたれしにくいのです。そのため山芋は、生のまま切ってサラダに入れ、シャキシャキとした食感を楽しんだり、すりおろしてとろりとした食感を楽しんだりすることができます。
通常、アミラーゼをはじめとした消化酵素は、火に通すと活性化しなくなってしまうため、生で食べるのがおすすめですが、山芋は火を通しても芋類ならではのホクホクとした食感を楽しむことができます。炒め物などの料理にしてもよいでしょう。すりおろした山芋を加えるとボリュームが増すため、お好み焼きのつなぎにもよく使用されています。このように山芋は、さまざまな食べ方を楽しめるユニークな食材なのです。
【管理栄養士監修】山芋・長芋にはどんな栄養がある?効果的な食べ方についても紹介「とろろ」「口の周りがかゆくなる」「お好み焼きに入れるとふわふわになる」など、山芋のイメージは人それぞれです。さまざまな料理に使える身近な食材の山芋ですが、意外と知らないことも多いのではないでしょうか。この記事では、長芋・大和芋などの山芋の種類や栄養価、成分、さらにおいしい食べ方について紹介します。
山芋の糖質はどのくらい?

Kaiskynet Studio/Shutterstock.com
芋類といえば、炭水化物であり、糖質が多いというイメージですが、山芋にはどのくらいの糖質が含まれているのでしょうか?
文部科学省のデータによると、ヤマノイモ類の糖質は以下のようになります。
種類 | 100gあたりの糖質量 |
---|---|
いちょう芋 生 | 23.6g |
長芋 生 | 12.9g |
大和芋 生 | 26.9g |
自然薯 生 | 25.7g |
大薯 生 | 23.7g |
(参照元:http://www.mext.go.jp/component/a_menu/science/detail/__icsFiles/afieldfile/2016/03/01/1365343_1-0202r.pdf)
やはり主成分なだけあって、ほとんどの山芋が100g中20gを超える糖質を含んでいます。しかし芋類の7、8割は水分であることや、食物繊維も含まれていることを忘れてはいけません。少量で満腹感が得られるため、食べ過ぎなければ太りにくくヘルシーな食材だともいえるのです。
山芋のカロリーや食物繊維はどのくらい?

Kaiskynet Studio/Shutterstock.com
山芋のカロリーと食物繊維についても見ていきましょう。こちらも文部科学省からの情報を参照しています。
種類 | 100gあたりカロリー | 食物繊維総量[水溶性、不溶性] |
---|---|---|
いちょう芋 生 | 108 kcal | 1.4g[0.6g、0.8g] |
長芋 生 | 65 kcal | 1.0g[0.2g、0.8g] |
大和芋 生 | 123 kcal | 2.5g[0.7g、1.8g] |
自然薯 生 | 121 kcal | 2.0g[0.6g、1.4g] |
大薯 生 | 109 kcal | 2.2g[0.5g、1.7g] |
(参照元:http://www.mext.go.jp/component/a_menu/science/detail/__icsFiles/afieldfile/2016/03/01/1365343_1-0202r.pdf)
山芋の中では、長芋のカロリーが低い特徴があります。また、食物繊維は大和芋、自然薯、大薯は100gあたり2g以上も含まれていることがわかります。
水溶性の食物繊維には血糖値の上昇を抑える効果、不溶性の食物繊維には排便を促す効果が期待できます。摂取し過ぎると、お腹がゆるくなる可能性がありますが、現代の日本人は食物繊維が不足しているといわれているため、積極的に摂りたい栄養素の1つです。
【料理研究家監修】山芋と長芋の違いは?味や食感、ネバネバの栄養・効能も解説とろろや山かけは日本人にとってなじみの深い料理です。よく混同される山芋と長芋ですが、実際には定義が違う食材です。品種によって味や食感が変わるので、それぞれに適した調理法を用いて楽しみましょう。また、いずれも健康にいいとされる「ネバネバ食品」の栄養・効能についても解説します。
その他山芋の栄養と特徴

karins/Shutterstock.com
その他、山芋にはどのような栄養素が含まれているのでしょうか?ここからは、山芋に含まれる代表的な栄養素をご紹介します。
ビタミンB1
ビタミンB1は、糖からエネルギーを得る過程で活躍する栄養素です。糖質の多い食事や、アルコールを多量に摂取する人に不足しがちなビタミンだといわれています。長芋には100gあたり0.10mg、いちょう芋、大和芋には0.15mg、0.13mgのビタミンB1が含まれています。
カリウム
山芋にはカリウムが多く含まれており、一番少ない長芋で100gあたり430mg、いちょう芋・大和芋には590mgも含まれています。
(参照元:http://www.mext.go.jp/component/a_menu/science/detail/__icsFiles/afieldfile/2016/03/01/1365343_1-0202r.pdf)
「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、成人男性3,000mg以上・女性2,600mg以上を目標量としており、長芋100gを食べることによって、目標量の約1/7(男性)のカリウムが摂取できます。ちなみにカリウムにはナトリウムの排出作用が期待でき、塩分の摂り過ぎを調節してくれます。
(参照元:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-005.html)
まとめ
山芋は、少量でも多くの栄養素を摂取できる食材です。芋類の中で唯一、生で食べられるため、さまざまな食べ方が楽しめる食材でもあります。ぜひ積極的に食事に取り入れてみてください。
【管理栄養士監修】山芋にはどんな栄養がある?効果的な食べ方についても紹介「とろろ」「口の周りがかゆくなる」「お好み焼きに入れるとふわふわになる」など、山芋のイメージは人それぞれです。さまざまな料理に使える身近な食材の山芋ですが、意外と知らないことも多いのではないでしょうか。 この記事では、山芋の種類や栄養価、成分、さらにおいしい食べ方について紹介します。
プロフィール

監修者:横川 仁美
管理栄養士。食と健康・美容を繋ぐ「smile I you」代表。
メタボリックシンドロームの人へ向けた保健指導を中心に、ダイエットサポート、電話相談、雑穀販売等のカウンセリング等を通して、のべ2000人の方に、食のアドバイスに携わる。目の前の人の「今」、そして「これから」を大切にした食の提案を目指している。
また、健康食育シニアマスターやマイ穀スタイリスト、ヘルスケア栄養ライターの資格も保有。