【管理栄養士監修】なめこの栄養や効果・効能について解説!独特のぬめりの秘密は?
なめこは、私たちになじみ深いキノコの1つです。しかし、その独特のぬめりの理由や、どんな栄養や効果があるかは意外に知られていないのではないでしょうか。この記事では、なめこに含まれる栄養や効果効能をはじめ、なめこによく合う食べ方や、迷う方も多い洗い方についても紹介します。
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なめこってどんな食品?

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なめこは、モエギタケ科の食用キノコで、なめたけとも呼ばれています。元来ブナの木などに生えていて、天然のなめこは9月~11月にかけて流通します。おがくずなどを使い菌床栽培されたものは1年を通してお店で見られます。長野県、新潟県、群馬県、福島県、山形県などから多く出荷されています。
なめこに含まれる栄養や効果・効能がどんなもの?

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なめこには、ビタミンB群や葉酸のほか、多くのミネラルが含まれています。各栄養素の含有量はあまり多くはありませんが、これ1つで手軽にさまざまな栄養を補えます。
ナイアシン
ナイアシンは体にとって必要なビタミンの1つで、例えば、体のエネルギーであるATPの産生や、ビタミンC・ビタミンEが関わる抗酸化作用、ステロイドホルモンの産生などに関係しています。ナイアシンは魚介類などが多く含有する成分ですが、野菜類にはあまり含まれていません。なめこには、100gあたり5.3mg含まれており、これはキャベツの0.2mgに比べて約25倍にもなります。生活習慣病に直接影響する栄養成分ではないものの、体にとって大切な役割を担う成分であるため、ないがしろにはできません。
ペクチン
そしてなめこの最大の特徴である「ぬめり」にも、健康に繋がる成分が含まれています。なめこに含まれるペクチンは植物性の多糖類の総称で、納豆やオクラのいわゆる「ネバネバ成分」と同じものです。
このぬめりの主成分ペクチンは、水溶性食物繊維の一種で、糖質の吸収をおだやかにし、急激な血糖値の上昇を抑える働きを持っています。その他、腸内環境を整えて便通をよくしたり、コレステロールの吸収を抑制したりする働きも持っているため、動脈硬化を予防する効果もあると言われているのです。なめこには水溶性食物繊維が100gあたり1.0g含まれており、これは同量のキャベツの2.5倍にあたります。
食物繊維
キノコ類はもともと食物繊維が豊富に含まれていますが、なめこも例にもれず、食物繊維が豊富に含まれています。食物繊維が含まれている食材と言えばサツマイモですが、サツマイモに含まれている食物繊維は100gあたり2.2gです。しかし、なめこには100gあたり3.4gの食物繊維が含まれていて、これはサツマイモの1.5倍以上にあたります。そのため、食物繊維の整腸作用なども通常の食材以上に期待できます。
このように、なめこのぬめり成分には期待できる嬉しい効果や効能がいっぱい詰まっています。食事にプラスすることでこうした健康面のサポートが期待できる頼もしい存在です。
なめこの糖質・カロリーを紹介
ここで、気になる糖質とカロリーをみていきましょう。
■なめこ100g中の糖質量・カロリー
・生:2.0g、15kcal
・ゆで:2.3g、14kcal
■その他のキノコ類100g中の糖質量・カロリー
・しいたけ:2.1g、23kcal
・まつたけ:3.5g、23kcal
・ほんしめじ:0.9g、12kcal
【参考】文部科学省:「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
なめこの糖質量・カロリーは、他のキノコ類と大きく変わらないことがわかりました。参考までに、キャベツ100gの糖質量が3.4g、カロリーが23kcalですので、一般的には低糖質・低カロリーな食材といえます。
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なめこを使った料理を作ろう!

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和え物
なめこの代表的な食べ方の1つが和え物です。ぬめりがあるので混ぜ込みやすく、いろいろな食材にほどよくなじんでくれます。中でも昔から広く食べられているのが大根おろしとの和え物です。大根おろしが辛すぎても、粘り気のあるなめこがマイルドな口当たりにしてくれます。
また、オクラや山芋、納豆と混ぜ込むことで、さらにネバネバ度がアップします。先述の通り、ペクチンは糖質の吸収を控える働きも持っているため、血糖値の上昇を抑える効果も期待できるでしょう。
汁物
「なめこ汁」といった料理があるように、汁物でもよく使われます。なめこを汁物に入れるとぬめりが分かりにくくなるので、ネバネバした食べ物が苦手という方でも比較的口にしやすい食べ方です。みそ汁はもちろんのこと、うどんやそばといった麺類に入れるのもおすすめです。また、食欲がないときでも、なめこが麺と絡むことでツルツルと一気に食べることができます。
その他、とろみを活かしてハンバーグの上にキノコソースとして乗せてみるのも1つの手です。
なめこは洗うの?洗わないの?

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スーパーなどで売られているなめこは、まれに栽培のときに使用したおがくずが付着している場合があります。気になる方は軽く水洗いをするとよいでしょう。
また、鮮度が落ちてきているものは乳酸菌が繁殖している場合があり、この際に洗わずに使うと独特の酸味が出てしまいます。なめこの酸味が気になるなら、サッと水洗いすることをおすすめします。ただ、なめこが新鮮で多少の汚れや酸味も気にしないというのであれば、洗わずに食べることも可能です。
しっかり洗うとなめこのぬめりが落ちてしまうため、洗わずに使用すると言う方もいらっしゃいます。なめこのぬめりは、口当たりのよさだけでなく、健康に役立つ成分や旨み成分をたっぷり含んでいるので、できればあまり落とさずに使いたいところです。
洗う場合は、ザルにあげて軽く流水ですすぐ程度にしておきましょう。また、なめこは加熱が必要な食品です。そのため、ザルにあげたなめこに沸騰したお湯をかけることで、加熱と水洗いを同時に行うこともできます。和え物に使う場合におすすめの方法です。
まとめ
なめこは、メインのおかずにはなりにくいものの、あと一品ほしい!というときに手軽に献立にプラスできる頼もしい食材です。日ごろの健康を手軽にサポートしてくれるので、普段のおかずに積極的に取り入れてみてはいかがでしょうか。
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プロフィール

監修者:石川桃子
管理栄養士。
管理栄養士専攻の大学を卒業し、管理栄養士国家試験資格を取得。その後、歯科医院へ管理栄養士として就職し、食べる入り口となる《お口の健康=身体の健康》を伝えるべく活動をしている。健康になるために糖質コントロールなどの一人一人の生活スタイルに合わせた食事指導や砂糖を使わないレシピなどを提供。食事アプローチに携わる。
また、多くの方が健康に興味を持ってもらえるよう歯科医院での食事指導を広めるべく、独自で管理栄養士対象の歯科栄養ベーシック講座を2020年に開講。