【管理栄養士監修】【栄養に差あり】かいわれ大根とブロッコリースプラウトの違いとは
大根やブロッコリーが成長する前の状態で収穫した、かいわれ大根とブロッコリースプラウト。どちらも見た目は似ていますが、それぞれどのような違いがあるのでしょうか?この記事では、かいわれ大根とブロッコリースプラウトの違いをさまざまな観点からご紹介します。
- 公開日:

目次
かいわれ大根とブロッコリースプラウトの見た目と味の違い

Prostock-studio/Shutterstock.com
まずはそれぞれどんな野菜なのか、そして見た目や味の違いを確認してみましょう。
見た目の違い
かいわれ大根とは、大根の新芽のことです。新芽の形が、二枚貝が割れたように見えることから、「かいわれ(貝割れ)」と呼ばれています。一方、ブロッコリースプラウトとは、ブロッコリーの新芽のことです。「スプラウト」という言葉も、かいわれと同様に新芽や発芽野菜のことを指します。どちらも新芽でよく似ていますが、違いはブロッコリースプラウトの方が茎が細く、葉が小さくなっています。
味の違い
かいわれ大根は大根の赤ちゃんというだけあって、ピリッとした辛さがあります。一方、ブロッコリースプラウトは苦みや辛みが少ないのが特徴です。
かいわれ大根とブロッコリースプラウトの栄養の違い

kariphoto/Shutterstock.com
100gあたりに含まれる栄養価(μg)
かいわれ大根 | ブロッコリースプラウト | |
---|---|---|
β-カロテン | 1,900 | 1,400 |
レチノール活性当量 | 160 | 120 |
ビタミンK | 200 | 150 |
葉酸 | 96 | 150 |
パントテン酸 | 290 | 520 |
ビタミンC | 47,000 | 64,000 |
※特徴的な部分だけ抜粋
発芽野菜であるかいわれ大根とブロッコリースプラウトには、これから成長するためにさまざまな栄養や酵素がたっぷり含まれています。両者に含まれる栄養素を、文部科学省のデータを参考に比較したところ、次のような違いが見られました。
(参照元:「文部科学省 日本食品標準成分表2015年版(七訂)」http://www.mext.go.jp/component/a_menu/science/detail/__icsFiles/afieldfile/2016/11/30/1365343_1-0206r8_1.pdf)
かいわれ大根により多く含まれているのは、β-カロテン・レチノール・ビタミンK・葉酸といった成分です。ブロッコリースプラウトには、パントテン酸・ビタミンCが挙げられます。そのほかのナトリウムやカリウムをはじめとしたミネラル成分や、カロリー、タンパク質、脂質などには、ほとんど違いが見られません。
また栄養素としては記載していませんが、かいわれ大根には大根の辛みの元となる成分「イソチオシアネート」が含まれています。一方、ブロッコリースプラウトに特徴的な成分としては、「スルフォラファン」というものがあります。次の項で、これらの栄養素がどのような働きを持っているのかをご紹介します。
【管理栄養士監修】大根にはどんな栄養がある?押さえておきたい調理ポイントも紹介!全国各地で栽培され、日常の食卓との関わりが深い大根。この記事では含まれる栄養成分など、大根に関する基本的な情報をご紹介します。その栄養を逃がさないおすすめの調理方法もご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
かいわれ大根とブロッコリースプラウトに含まれている成分の特徴について

MAHATHIR MOHD YASIN/Shutterstock.com
かいわれ大根に多く含まれる成分には、以下のような効能が期待できます。
・β-カロテン
有害な活性酸素から体を守る抗酸化作用を持ち、がん予防に効果が期待できます。
・レチノール
目の網膜細胞を保護したり、目が光からの情報に反応したりするために必要な物質です。
・ビタミンK
出血時に血が固まるのを促したり、丈夫な骨作りに役立ったりする栄養素です。また動脈の石灰化を防止するなどの効果が期待できます。
・葉酸
細胞を増やすために必要な栄養素です。
・イソチオシアネート
強力な抗酸化物質です。解毒作用やがん予防、血栓をできにくくするなど、健康に嬉しい効果に期待が持てます。
次にブロッコリースプラウトに多く見られる3つの成分の期待できる効果をご紹介します。
・パントテン酸
ビタミンの1種で、脂質や糖質の代謝、善玉コレステロールや、ホルモン、免疫抗体の生成を助ける役割があります。
・ビタミンC
活性酸素の害から体の細胞を守り、老化防止に役立ちます。また、コラーゲンの生成を促し、つや肌作りを応援してくれるビタミンです。
・スルフォラファン
がん予防、解毒作用、抗酸化作用などが期待できます。このスルフォラファンは成長したブロッコリーよりも、スプラウトの方が豊富に含まれ、その差はなんと20倍といわれています。
かいわれ大根にはがん予防に効果が期待できる成分が多く含まれているため、健康的な体を維持するためにも積極的に料理に取り入れてみましょう。またブロッコリースプラウトにもがん予防の効果が期待できます。さらに、脂質・糖質の代謝を助けてくれたり、コラーゲンの生成も促してくれたりするため、美容を気にする方にもおすすめです。
豆苗(とうみょう)との違い

karins/Shutterstock.com
最後に、かいわれ大根やブロッコリースプラウトとよく似ている、豆苗についてご紹介します。
豆苗は、えんどう豆が発芽したものです。豆としての栄養成分と、緑黄色野菜としての栄養成分を兼ね備えています。かいわれ大根やブロッコリースプラウトと比べると、タンパク質やβ-カロテン、ビタミンB群などが豊富に含まれています。豆のような甘みが感じられるので、スプラウトのなかでも食べやすい食材だといえます。また、繁殖能力が高く、茎を6cm程度残してカットして水に浸けておくと、成長して再び食べられるようになります。
【料理家監修】豆苗の日持ちは何日?保存方法や再生栽培のコツもあわせて解説!豆苗はえんどう豆を発芽させた若い芽と茎を食べる野菜です。β-カロテンを豊富に含む緑黄色野菜で、ほのかな豆の香りとシャキシャキとした歯ごたえが魅力です。今回は豆苗の賞味期限や保存の方法、再生栽培のコツや新鮮な豆苗の見分け方などを紹介します。
まとめ
かいわれ大根とブロッコリースプラウトは、見た目は似ていますが、味や成分に違いがあります。どちらもβ-カロテンやビタミンC、葉酸などが含まれ、栄養価の高い食材です。さらに、かいわれ大根にはイソチオシアネート、ブロッコリースプラウトにはスルフォラファンなど特有の栄養成分も含まれ、解毒作用やがん予防などに効果が期待できます。また、同じく発芽野菜としてスーパーで売られている豆苗は、豆類と緑黄色野菜の栄養成分を兼ね備え、栄養面でも経済面でもメリットの高い食材です。違いや効能を知って、日頃の食事に取り入れてみましょう。
【管理栄養士監修】栄養満点!ブロッコリースプラウトの栄養成分と効果が話題!近年スーパーなどでもよく売られるようになった「ブロッコリースプラウト」。いったいどのような野菜で、どんな栄養があるのかといわれると、うまく説明できない方も多いのではないでしょうか。 そこでこの記事では、ブロッコリースプラウトについてくわしくご紹介します。
大根にはどんな栄養がある?押さえておきたい調理ポイントも紹介!【管理栄養士監修】全国各地で栽培され、日常の食卓との関わりが深い大根。この記事では含まれる栄養成分など、大根に関する基本的な情報をご紹介します。その栄養を逃がさないおすすめの調理方法もご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
プロフィール

監修者:横川 仁美
管理栄養士。食と健康・美容を繋ぐ「smile I you」代表。
メタボリックシンドロームの人へ向けた保健指導を中心に、ダイエットサポート、電話相談、雑穀販売等のカウンセリング等を通して、のべ2000人の方に、食のアドバイスに携わる。目の前の人の「今」、そして「これから」を大切にした食の提案を目指している。
また、健康食育シニアマスターやマイ穀スタイリスト、ヘルスケア栄養ライターの資格も保有。