【管理栄養士監修】栗の糖質・カロリーはどれくらい?ダイエット中は食べ過ぎ注意!
秋の味覚として代表的な栗は、甘栗や甘露煮として調理されることが多く、ついつい食べてしまいがちです。しかし、カロリーや糖質の量、1日に食べる目安などは知られていません。そこで今回は、栗との上手な付き合い方をご紹介していくと同時に、栗の持つ意外な栄養価にも迫ります。
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栗の糖質量

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食べ物の栄養価を語る上で、まず気になるのが糖質でしょう。糖質は炭水化物から食物繊維の値を引いて計算します。栗といっても種類や調理方法によって栄養価に若干の違いが見られます。
以下、すべて可食部100gあたりの値です。日本栗の可食部は生で1粒20g強といわれますから、100gはおよそ5粒にあたります。一方、中国の甘栗は炒った状態で1粒約5gですから、約20粒分となります。
■栗100g中の糖質量
・日本栗(生):32.7g
・日本栗(ゆで):30.1g
・日本栗(甘露煮):54.0g
・甘栗…40.0g
【参考】文部科学省:「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
甘露煮は、みりんと砂糖と塩で栗を煮たものです。落花生の炭水化物量が10.9gであることを考えると、栗の糖質がいかに多いかがよく分かります。
【料理家監修】栗を追熟すると甘くなる?プレミアムな栗はおうちで作れるんです!秋の味覚といえば栗。ほくほくとした口当たりに甘い味わいが魅力の栗ですが、保存の仕方次第でもっとおいしく追熟させることができます。栗は旬の時期が限られた食材なので、せっかくならよりおいしくなる食べ方を追求していきましょう。
栗のカロリー

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ここで100gあたりの栗のカロリーを種類別にみてみましょう。
■栗100g中のカロリー
・日本栗(生)…164kcal
・日本栗(ゆで)…167kcal
・日本栗(甘露煮)…238kcal
・甘栗…222kcal
【参考】文部科学省:「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
カロリーは脂質・糖質(炭水化物)・たんぱく質の量に比例しますので、やはり砂糖を添加していない生の日本栗が最も低く、ゆでてもほとんど数値は変わりません。しかし、調理をする中国栗の甘栗や日本栗の甘露煮は、砂糖などが加わる分だけ高くなることが分かります。
一見するとさほど高くないように思われる数値ですが、サツマイモのカロリーが134kcal(皮むきされた生の状態と蒸した状態のカロリーは同じ)であることや、食べる栗の数を考えると総摂取カロリーは高くなると容易に想像できます。
たとえば、通常サイズの栗であれば、5~6粒ほどで100gを超えます。市販の栗はたいてい大容量で販売されていますし、調理する際に使用する栗の数も決して少なくないでしょう。目の前の栗を無意識に食べ続けることで、カロリーオーバーにつながることもあるので、注意が必要です。
栗1粒当たりの糖質量とカロリー

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ここで栗1粒当たり(約15〜22g)の糖質量とカロリーを整理してみましょう。
まず、糖質は生栗1個あたり5~7.3g、甘露煮で8.1~11.8g程度含まれています。
カロリーは生栗1個につき24.8~36.5kcalです。甘露煮は35.7kcal〜52.4kcalの範囲が目安になります。
栗の栄養
栗はいろいろな栄養分を含有する優れた食品です。水分を除くとほとんどが炭水化物で、これは穀類やイモ類と同様、基本的なエネルギーのもととなります。そのほか、特筆すべき成分を以下に挙げていきます。
・ビタミンB1
生きていく上でのエネルギーをつくり出すのに欠かせないといわれるビタミンB1は、栗など種実類(しゅじつるい=果実が非常に硬い皮などに包まれている植物)に比較的多く存在しますが、栗にも0.21mg(生の日本栗で可食部100gあたり、以下同)含まれ、これは1日に必要な分の6分の1ほどにあたります。
・タンニン
渋みのある果物というと渋柿を思い浮かべますが、栗の渋皮にもポリフェノールの一種で抗酸化作用があるとの期待もされるタンニンが含まれています。
・ビタミンC
軟骨や血管を正常に保ち、ストレスへの抵抗力も強めるといわれるビタミンCですが、栗にも33mgと意外に多く含まれています。参考までに、ジャガイモのビタミンC含有量は28mg、キャベツは41mg含まれています。
他の種実類と糖質量とカロリーを比較

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栗は種実類に分類され、他にもナッツや銀杏などがあります。その中でも、よく食される種実類をピックアップし、それぞれの糖質とカロリーをランキング形式で比較してみました。
【糖質ランキング(100g中)】
第1位…日本栗(甘露煮) 54.0g
第2位…銀杏(生) 33.2g
第3位…日本栗(生) 32.7g
第4位…アーモンド(乾燥) 10.8g
第5位…落花生(炒り) 9.9g
このランキングを見てみると、甘露煮の次に銀杏が続いていますが、日本栗(生)との差は1gほどとなりあまり大差はありません。銀杏は、塩で食べることが多いため、調理方法によって大きく糖質量が増加するとは考えにくいでしょう。そのため、100g中の糖質量は、砂糖と相性のよい栗が高くなりやすいことが考えられます。
【カロリーランキング(100g中)】
第1位…くるみ(炒り) 674kcal
第2位…ごま(炒り) 599kcal
第3位…落花生(炒り) 588kcal
第4位…アーモンド(乾燥) 587kcal
第5位…日本栗(甘露煮) 238kcal
カロリーに関してはナッツ類に軍配が上がります。栗は糖質量が多いのにカロリーは控えめであることがわかります。他にも椎の実やケシの実など、普段の食卓に上らないものもランクインしていましたが、一般的ではないので除外しています。
栗とサツマイモの比較
栗の「ライバル」といえば、同じく季節の味覚として外せないサツマイモ。では、このサツマイモの糖質・カロリーは栗と比べてどれくらいあるのでしょうか?
■100g中の糖質・カロリー
・日本栗(生):32.7g、164kcal
・さつまいも(塊根、皮むき、生):29.7g、134kcal
この結果から、栗もサツマイモも、糖質・カロリーともに、近い数値であることが分かります。また、いずれも栗の方がサツマイモより高い特徴があります。
【参考】文部科学省:「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
栗は1日何個まで?

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栗のビタミンCはでんぷんに包まれているため加熱しても壊れにくいといわれています。
また、栗の渋皮には前述したように抗酸化作用、すなわち老化などを防ぐ働きが期待されるタンニンという成分が多く含まれています。
そのため、おすすめの食べ方は渋皮ごと茹でて煮詰めた「渋皮煮」で、子どもの食事やおやつにも向いています。おやつは、だいたい200kcalほどを目安にされるとよいといわれているので、茹でた状態の栗で5粒程度を目安にできるとよいでしょう。甘露煮などは 食べ過ぎると糖質過多の恐れがあるので注意が必要です。
まとめ
栗の糖質が意外と高いことに驚いた方もいるかもしれません。栗は渋皮にポリフェノールが含まれているため、渋皮まで食べられる方法で調理することをおすすめします。
甘味としてついつい手が伸びてしまう栗ですが、スナック菓子よりはずっと健康的なので、栗をおやつとして取り入れてみてはいかがでしょうか?
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プロフィール

監修者:藤井歩
管理栄養士
大学卒業後、管理栄養士として高齢者福祉施設での給食管理業務、企業での特定保健指導、栄養講座講師、栄養指導ツール開発などの業務に携わる。
その後はフリーランスとなり、オンラインでのダイエット指導、特定保健指導、レシピ作成、コラム執筆など、栄養に関するさまざまな業務に携わっている。