【料理家監修】正しいビーツの下処理方法3つをご紹介!
ヨーロッパの料理ではおなじみの、赤い根菜「ビーツ」。栄養が豊富で見た目も色鮮やかなことから、日本での人気も高まりつつあります。ですが、いざ食べるとなると、どう調理したらよいのか分からない人も多いでしょう。そこで当記事では、ビーツの下処理方法についてポイントを分かりやすくご紹介します。
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ビーツとは

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ビーツはヒユ科アカザ亜科に属する植物で、主に根菜部分が食用とされます。精製糖の原料とされるテンサイ(甜菜)と同種で、ヨーロッパやアフリカ北部では甘味野菜としてよく使われます。とくにロシア料理のボルシチには欠かせない食材で、ほかにも甘酢漬けのピクルスにしたものがサラダの具として好まれます。
食用の根菜部分は特徴的な赤色をしていて、「赤蕪」や「ウズマキダイコン」などとも呼ばれますが、アブラナ科のカブやダイコンとは縁遠く、日本の野菜でいうならホウレンソウに近い種です。ほかにもカエンサイ(火焔菜)やテーブルビートなど、さまざまな呼び名があります。
栄養価が高く、リン、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、カリウムが豊富で、更にビタミンA、B、C、食物繊維や葉酸も含み、「食べる輸血」といわれるほど体によい効果が期待できます。海外では缶詰にされたものがあり、日本でも輸入品を扱うお店なら1年中入手できます。とはいえもちろん、生の野菜を選んで調理するのが一番です。日本では、長野県や北海道で栽培されており、旬の時期は6~7月と11~12月頃です。
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ビーツの下処理をする前に

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ビーツは皮をむいて薄くカットすれば、生で食べることも可能です。料理ではスープに使用されることが多く、その場合は下ごしらえとして加熱するのが一般的です。
ビーツを下処理する際は、皮をむかずに加熱するのがポイントになります。特徴的な赤色はベタシアニンというポリフェノールの1種によるもので、ほかにもビタミンCや葉酸など、ビーツは豊富な栄養素を含んでいます。皮をむいた状態でボイルなどすると、これらのせっかくの栄養が色素とともに流れ出てしまうのです。
ビーツの下処理方法

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ビーツを美味しく、また栄養価の高い状態で食べるにはどのように下ごしらえしたらよいでしょう。以下、大きく3つに分けて下処理の方法をご紹介します。
茹でる
もっとも一般的な加熱方法はボイルです。茹でたビーツは、ジャガイモのようにそのまま塩やバターで食べることもできますし、スープ料理やカレーの具としても使えます。
よく洗った皮付きのビーツを丸ごとお湯の沸いた鍋に入れ、弱火で40~60分を目安にじっくり茹でます。このとき、お酢を大さじ1~2杯ほど加えると、赤味がより鮮やかになります。逆に塩は色味を減退させるので、最後の仕上げに少々入れる程度にとどめましょう。
好みの固さに茹で上がったら、取り出して流水にさらします。このとき、固さを確かめるために串などで刺しすぎると、色素や栄養素が流れ出てしまいます。きちんと茹で上がっていれば、皮がすんなりとむけるはずです。
ビーツをむいた手が赤くなるので、初めての人はびっくりするかもしれません。ですが、翌日までには自然に消えるので安心してください。
レンジで蒸す
ご家庭でより簡単にできる下処理として、電子レンジを使う方法もあります。ビーツがすっぽり入るボウル状の容器に入れ、1~2cm浸るくらい水を注ぎます。
あとはラップをふんわりかけて、レンジで加熱するだけ。時間は好みによりますが、家庭用レンジで6分程度加熱し、様子を見ながら、好みの固さになるように追加で加熱しましょう。少し冷めた頃を見計らって手でむけば、やはり皮がつるんと取れるはずです。
竹串などで刺してみて、もっと柔らかくしたいと思ったら、またラップをかけて加熱し直しましょう。好みの固さに調節しやすいのが、レンジで蒸すメリットの1つといえます。ボウルに入れているので、串で刺して多少中身が漏れても問題ありません。
オーブンでロースト
本格的に調理するなら、オーブンでしっかり中まで火を入れるのがおすすめです。ビーツにはゲオスミンという化学物質が含まれていて特有の土臭さがあるのですが、オーブンでゆっくり加熱することで、この臭いを除去することができます。また、ビート類のもつ甘味をより引き出すことにもつながります。
オーブンローストの場合、必要なのはアルミホイルです。オーブンは予熱で180度に温めておき、よく洗ったビーツをアルミで包みます。ビーツが大きいときは、あらかじめ半分にカットして包んでも大丈夫です。ローストの時間の目安は、だいたい40分~1時間。オーブンの場合は、竹串がすっと中まで通る柔らかさまで加熱するのがコツです。
まとめ
ビーツは栄養豊富なうえ、赤色が鮮やかでスープやサラダなどさまざまなレシピによく合います。テンサイと同じく糖分も多く含むため、加熱することで甘味もより強くなります。
この記事では「鍋で茹でる」「電子レンジ」「オーブンでローストする」という3つの下処理方法をご紹介しました。いずれも、皮をむかずに丸ごと加熱するのがポイントです。手やまな板がビーツの色素で赤く染まってしまいますが、気になる場合はレモン汁でこすると、色が落ちやすくなります。
日本でも人気の高まりつつある赤い野菜ビーツを、ぜひこの機会に美味しく食べてみてください。
プロフィール

監修者:貞本 紘子
料理家。食育アドバイザー、幼児食アドバイザー。
岐阜県にて家庭料理、パン、ケーキの教室「colette」を主宰。
少人数制、初心者にも分かりやすく丁寧な指導で生徒数は6年間で述べ5500人。
「おうちご飯をもっと楽しく!」をモットーに活動中。