【料理家監修】おいしいさつまいもの選び方と品種別の特徴

定番の焼き芋はもちろん、天ぷら、煮物などの惣菜にサラダやおやつ、スイーツまで、さつまいもは幅広い料理に用いられます。そこで、基本的なおいしいさつまいもの選び方と、数ある品種の中から代表的なものを特徴別にまとめました。さらに、さつまいもを選ぶ上での注意点もご紹介します。

【料理家監修】おいしいさつまいもの選び方と品種別の特徴
出典 : Paulo Vilela/Shutterstock.com

おいしいさつまいもの選び方

おいしいさつまいもの選び方

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さつまいもには、焼酎用、デンプン原料用を含め、農林水産省に報告されているだけで2018年に約60品種もあります。
(参照元:URL)http://www.maff.go.jp/j/heya/kodomo_sodan/0312/01.html

さつまいもは、品種によって味だけでなく、大きさや見た目など特徴が異なります。しかし、共通する基本的な選び方は以下のとおりです。

・皮にツヤがあり、色が均一で変色していない。
・表面に傷がなくて、でこぼこしておらずなめらかである。
・ヒゲが硬くない、または、少ない。
・ふっくら太めで手に持った時に重量感がある。
・皮や切り口に蜜の跡がある。

まず、皮にツヤがあり、色が均一なさつまいもは健康に育った証拠です。片側が薄いと十分栄養が行き渡っていない可能性があり、部位によって味わいが違うことがあります。でこぼこしているものは繊維質であまりおいしくありません。
重量感があるさつまいもは栄養を蓄えているので、積極的に選びたいところです。これらのポイントを押さえておけば、おいしいさつまいもを選ぶことができるでしょう。また、糖度が高いものには皮や切り口に蜜の跡があるので、スイートポテトなどさつまいもの甘さを活かした料理をする場合の選定ポイントとして覚えておきましょう。

【特徴別】さつまいもの品種

【特徴別】さつまいもの品種

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さつまいもには多くの品種があり、ほくほく系、しっとり系、ねっとり系に分けられます。どれがおいしいかは好みの問題です。また、糖度の高い品種か、甘さ控え目な品種のどちらを選んだ方がよいかは、料理の仕方・食べ方によって異なります。
それぞれの系統の特徴・具体的な品種と、焼き芋にぴったりの品種を以下にご紹介します。

ほくほく系

昔ながらの王道のさつまいもで、さまざまな料理にも使われます。
「ベニアズマ」は、最も多く流通しているさつまいもです。茨城や千葉を中心に作られていて、関東でさつまいもと言えばベニアズマを示すほどです。収穫後に一定期間貯蔵され、12月〜2月頃に出回るものは甘みが増しています。
「高系(こうけい)14号」は、関西・四国方面では定番です。戦後間もなくに誕生した品種で、その後、高系14号を元にした品種改良・突然変異種が日本各地で生まれています。その代表的な品種として、鳴門金時、五郎島金時、土佐紅、千葉紅などが挙げられます。

しっとり系

食感が、ほくほく系とねっとり系の中間程度のものを言います。「ベニハルカ」は、糖度が高く、甘みが強いのですが後味はすっきりしています。ほかの品種より「はるか」に甘い、をコンセプトに名付けられた比較的新しいさつまいもです。

ねっとり系

糖度が高く、焼くと中から蜜がこぼれ出てくることから、蜜芋(みついも)とも呼ばれています。
「安納芋」は、種子島の特産で、蜜芋の名前を世に知らしめた、甘くてねっとりしたさつまいもの代表格です。安納ゴールド、安納紫とあわせて「安納芋」とも呼ばれています。
「ベニマサリ」は、従来のさつまいもにはない、果糖やブドウ糖の成分を含んでいます。糖質も高く上品な甘さとなめらかな肉質が特徴です。

焼き芋にオススメの品種

さつまいもは何と言っても焼き芋に限るという方に、ぜひ、お試しいただきたい選りすぐりの品種をご紹介します。

・鳴門金時
昔ながらのほくほくした焼き芋で、特に、関西では焼き芋の代名詞と言っても過言ではありません。また、スイートポテトによく使われる品種でもあります。

・クイックスイート
2005年に品種登録された比較的新しい品種です。さつまいもは、加熱することでデンプンが糖に変わります。ほかのさつまいもと比べ低温の加熱でもデンプンから糖に変わる性質があるため、電子レンジの加熱でも石焼き芋のような甘さが楽しめると言われています。

・ヒメアヤカ
200〜300gのさつまいもが多い中、1個の平均重量が140g程度と、小ぶりな食べきりサイズの品種として開発されました。食感はしっとりしていてとても甘く、加熱した時の色も黄色く綺麗なので焼き芋に向いています。

その他、ねっとり系の代表格として上述した安納芋は焼き芋にしてもおいしい品種です。ぜひお試しください。

こんなさつまいもに注意

こんなさつまいもに注意

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いかにおいしいさつまいもでも、流通する際の環境によって味が損なわれてしまうことがあります。品種にかかわらず、状態の悪いさつまいもの見分け方についてご説明します。

芽が出ている

保管状態があまりよくなかったことなどが原因として考えられます。芽が出てしまったものは、芽に養分を持っていかれてしまうため、さつまいも自体の味が落ちてしまいます。

表面に黒い斑点がある

さつまいもは寒さに弱く、低温にさらされると表面に黒い斑点ができる場合があります。また、同じ理由で端の部分がしなびていたり、柔らかくなっていたりするものもあります。これらはどれも傷んでいる可能性があるので、避けてください。

ヒゲが硬い

さつまいもの鮮度が落ちて苦味が出ているかもしれません。流通するまでに保管されていた時間が長かったか、店頭に並べられて時間が経っている可能性があるので、選ばないようにしましょう。

まとめ

さつまいもは、基本的なチェックポイントを押さえておくことで、おいしいものが選べます。
品種によって、ほくほく系・しっとり系・ねっとり系などさまざまな特徴があります。注意点に気をつけながら自分好みのおいしいさつまいもを探しましょう。

プロフィール

監修者:貞本 紘子

監修者:貞本 紘子

料理家。食育アドバイザー、幼児食アドバイザー。
岐阜県にて家庭料理、パン、ケーキの教室「colette」を主宰。
少人数制、初心者にも分かりやすく丁寧な指導で生徒数は6年間で述べ5500人。
「おうちご飯をもっと楽しく!」をモットーに活動中。