「しそ」と「大葉」は同じ野菜!?しその種類をご紹介【料理研究家監修】
スーパーの野菜売り場でよく見かける大葉ですが、しそという名前でもよく見聞きしませんか?その違いは一体何なのでしょう。もしくは同じものなのでしょうか。この記事では、知っているようで知らない大葉としその違い、しその種類、おすすめ調理法などをご紹介します。
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「しそ」と「大葉」違いは呼び名だけ!

「しそ」と「大葉」、この2つの言葉を耳にしたとき、皆さんは何を思い浮かべますか?
どっちも一緒じゃないの?と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。それもそのはず、実はしそと大葉は同じ野菜のことなのです。
「しそ」というのは、シソ科シソ属に分類される植物全般を指します。
その種類はたくさんありますが、一般的には赤じそと青じそのことを指します。昔、中国で、重い食中毒で苦しむ少年にしそを煎じて飲ませると蘇ったという逸話から、「紫蘇」という漢字ができたとされています。
対して「大葉」というのは、しその中でも青じそのことを指します。また、青じそを大葉と呼ぶのは、食用の香味野菜として販売するときのみに限られます。そして、同じ食用でもドレッシングやジュースなどの加工食品になると青じそと呼ばれるのです。
青じそが販売されるときの商品名として「大葉」が誕生した経緯は、1961年頃青じそをまとめて販売する際に、芽の部分と区別するためだったといわれています。結果的に大葉はよく売れ、世間にも「大葉」という名前が浸透したため、今でも商品名として使われているのです。スーパーの野菜売り場で、よく大葉と表示されているのはこのためです。
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しその種類と特徴

先述したように、しそというと青じそや赤じそが一般的ですが、それ以外には以下のような種類もあります。
・えごま
・芽じそ
・花穂じそ
・しその実
えごま

えごまの葉は大葉によく似ていますが、よく見ると、大葉は輪郭がギザギザしているのに比べ、えごまは丸みを帯びています。また、えごまには独特の香りがあり味も苦いので、食べるとその違いは明らかです。近年の健康ブームで注目されていることもあり、えごま油なら知っているという方も多いのではないでしょうか?葉の食べ方としては、焼き肉でサンチュの代わりにえごまを使用して肉を包むという方法が有名です。
芽じそ
芽じそは文字通り発芽したばかりの若い芽のことを指します。青じそと赤じその芽を区別するため、前者は「あおめ」、後者は「むらめ」と呼ばれます。食べ方としては刺身の付け合わせや薬味として使われることが多いようです。
花穂じそ

花穂じそは、蕾がついた花穂のことです。軸に沿って可愛らしい花が並んで咲く様子は、稲穂によく似ています。花穂じそには、白色の青じその花ではなく、紫色をした赤じその花が多く使われます。芽じそ同様に、刺身の付け合わせや薬味にして食べられています。
しその実

しその実とは、花穂を栽培して花が落ちた後の実の部分です。こちらは生のままでは硬く、苦味もあるので茹でてアク抜きをしてから佃煮などの料理にすることができます。
しその調理法や種類による使い方の違い

薬味として使われることの多いしそですが、それ以外にもさまざまな使い方ができる野菜です。
青じそ
青じそは調味料と共にミキサーにかけてドレッシングにしたり、煮出してジュースにすることもできます。また、肉に巻いて火を通せば爽やかな香りを楽しめますし、天ぷらならパリパリとした食感を楽しめます。千切りにしてパスタやスープなどに幅広く利用するのもおすすめです。
赤じそ
赤じそは、ジュースや梅干しの色付けに使われることが多い品種です。目にも鮮やかな赤じそジュースですが、この赤色はシソニンという色素によるものです。赤じそに含まれるシソニンは梅にたくさん含まれているクエン酸と反応することで、青い梅の実をきれいな赤色に変える役割を担う色素成分で、梅干しを作る際にも活躍しています。
他にも用途はたくさんあり、180度で15分加熱してパリパリにしたしそを砕けば、お手軽自家製ふりかけの完成です。おにぎりに使えば、お弁当にもよいでしょう。また、先述のしそジュースは疲労回復効果や食欲増進作用がありますし、しそ自体にピロリ菌の抗菌、防腐作用がありますので、食中毒の原因となるピロリ菌が発生しやすい環境にお弁当を置いておくことが多い夏のレジャーやスポーツのときに取り入れるのもおすすめです。
しそは和のスーパーフード!

どちらかというと、料理の引き立て役とされることの多いしそ。しかし、しそにはさまざまな栄養素が含まれていることをご存じでしょうか?
豊富に含まれるものとしてβ-カロテンやカリウム、ビタミンKなどがあげられます。
β-カロテンは体に入るとビタミンAに変化します。抗酸化作用があるので老化予防や、粘膜が丈夫になる効果も期待できます。また、カリウムには利尿作用があるので、体内のナトリウムを排出してむくみを解消したり、血圧を下げる効果もあるといわれています。他にも、貧血予防によいとされる鉄分や、美肌効果が期待できるビタミンCなど女性にうれしい栄養素がたくさん含まれています。
栄養素以外にも、注目の成分が含まれています。しその爽やかな香りは「ベリルアルデヒド」という成分によるもので、消化不良や食欲不振を解消してくれる効果があるといわれています。殺菌作用もあることから、刺身に添えられることが多いです。
最近では、栄養豊富で健康に役立つ食材をスーパーフードと呼ぶことがありますが、しそも和のスーパーフードといえるのではないでしょうか?さまざまな料理にしそを加えれば、おいしく味わいながら健康効果も手に入れられます。
まとめ
今回は、混同されがちな「しそ」と「大葉」の違い、そしてしその栄養素やおすすめ調理法をご紹介しました。実は呼び方の違いだけで、同じ野菜を指す言葉だということがおわかりいただけましたか?
しそには大きく分けて青じそと赤じそがありますが、どちらも栄養豊富な食材です。薬味としてだけでなく、ジュースや天ぷらなど幅広い料理にも使用しておいしくいただきましょう。
プロフィール

監修者:貞本 紘子
料理家。食育アドバイザー、幼児食アドバイザー。
岐阜県にて家庭料理、パン、ケーキの教室「colette」を主宰。
少人数制、初心者にも分かりやすく丁寧な指導で生徒数は6年間で述べ5500人。
「おうちご飯をもっと楽しく!」をモットーに活動中。