【管理栄養士監修】牡蠣は糖質制限中に食べてもいい?食べ方に気を付けて
どんな状況でも、美味しいものはついつい食べたくなるものです。ここでは、どんな料理にしても美味しい牡蠣について、糖質、カロリーのほか、含まれる栄養素について触れていきます。ダイエット中など糖質制限の必要がある方でも楽しんで美味しく食べれるよう、この記事を参考にしてみてください。
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「海のミルク」牡蠣の糖質量

その乳白色の見た目にマイルドな食感、豊富な栄養分があることから「海のミルク」とも呼ばれる牡蠣は、「滋養強壮にはコレ!」といわれるほどの食材です。ここでは、『日本食品標準成分表2015年版(七訂)』を参考にして、むき身の牡蠣100g当たりの糖質量を見ていきましょう。糖質量は炭水化物から食物繊維を引いて算出しています。
■牡蠣100gあたりの糖質量
・生(養殖):4.9g
・水煮(養殖):7.1g
・くん製油漬缶詰:11.2g
牡蠣は水煮すると水分が抜け出てしまい、1個当たりのかさが減ります。100g換算すると、生のものと比べてより多くの牡蠣が必要となるため、一見、糖質量が増えたように感じますが、生(約10個)、水煮(約15個)と仮定した場合、1個当たりの糖質量は生とほとんど変わりません。一方、くん製油漬缶詰は、牡蠣をボイルした後にくん製処理を施すため、水煮よりさらに一個当たりの重さは減ってしまいます。
そのうえ、油漬けという特性上、その調理過程で砂糖などの糖分が加えられます。そのため、糖質量が最も多くなるのです。
牡蠣の大きさはそれぞれですので一概には言えませんが、1個20gの大きなサイズでもその糖質量は1.0g以下となります。このことから糖質制限中も安心して食べられる食材と言えます。けれども、水煮やくん製油漬缶詰を利用する場合は、食べ過ぎないよう気をつけたほうがいいかもしれません。
【参考】文部科学省:「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
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牡蠣のカロリー

次に、牡蠣100g当たりに含まれるカロリーをご紹介します。
■牡蠣100gあたりのカロリー
・生(養殖) 60kcal
・水煮(養殖) 91kcal
・くん製油漬缶詰 298kcal
カロリーも糖質と同様に100g換算をすると牡蠣1個当たりのかさが減るため、水煮やくん製油漬缶詰では牡蠣の数が多くなります。特に、くん製油漬缶詰については、油漬けに使用しているオイルの脂質が加わりますので、ひときわ高い数値になることがわかるでしょう。
生の牡蠣の食し方としてカキフライがありますが、揚げ油が衣に油が染み込むことで、そのカロリーは膨れ上がります。また、衣に使われるパン粉は炭水化物のため、糖質量についても同様の結果となります。どんな食材にも言えることですが、いくら牡蠣が糖質やカロリーの低い食材でも、調理次第でいくらでも高カロリーになるので糖質制限中の方は調理の方法に気をつけましょう。
【参考】文部科学省:「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
牡蠣に含まれる栄養と効能

牡蠣はグリコーゲンや必須アミノ酸をはじめ、亜鉛・鉄などのミネラルやビタミンB12などのビタミン類を多く含む栄養素の高い食材です。ここでは牡蠣に含まれる栄養素を効能とともにご紹介します。
鉄分
鉄分は赤血球内にあるヘモグロビン生成に深くかかわる栄養素です。ヘモグロビンとは鉄(ヘム)とタンパク質(グロビン)からなる物質で、そのなかで鉄は酸化鉄となって全身に酸素を運んでいます。鉄分の減少は、ヘモグロビンの減少につながるため、適度に摂取することで貧血防止の効果が期待されます。食べる時には鉄の吸収を高めるレモンをかけるといいでしょう。
亜鉛
亜鉛はDNAやたんぱく質の合成に必要なミネラルです。人体に数多く存在している酵素の構成成分でもあり、免疫機能の向上、創傷治癒の効果が期待されます。人体には亜鉛を保存しておく機能はないため、適切な量を適宜摂っていくことが求められます。
タウリン
牡蠣のうま味のもとはタウリンやグリシンといったアミノ酸です。特にタウリンは栄養ドリンクなどにも含まれている成分で疲労回復効果があるとうたわれています。これは肝機能を高めるとされるためで、そのほかにも、インスリンの分泌を促すことから糖尿病の予防や治療への効果も期待されています。熱に弱いため、主に生食で摂取できます。
他の貝類と比較すると?

非常に低糖質・低カロリーの食材である牡蠣ですが、他の貝類と比較するとどうなのでしょうか? 牡蠣の場合と同様、100g当たりの数値に換算しながら見ていきましょう。
■100gあたりの糖質量
・牡蠣(養殖、生):4.9g
・アサリ(生):0.4g
・ホタテ(生):1.5g
・しじみ(生):4.5g
■100gあたりのカロリー
・牡蠣(養殖、生):70kcal
・アサリ(生):30kcal
・ホタテ(生):72kcal
・しじみ(生):64kcal
貝類は全体的に低糖質・低カロリーの食材です。そのため、牡蠣はこれらの貝類と比べると、糖質・カロリーともに高めの食材であることがわかります。けれども、前述したとおり、糖質制限中でも適度な量を守って食する分にはまったく問題ない水準です。
それどころか、不適切なダイエット等を行ってしまった場合に不足する様々な栄養分を補ってくれることも考えられます。一緒に摂取する食材の組み合わせや調理法を考えて、より栄養豊富な料理を作ってみるのも楽しいでしょう。
【参考】文部科学省:「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
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まとめ
牡蠣は糖質やカロリーが他の貝類と比較して高めですが、貝類は全体的に糖質の低い食材ですので適度な量であれば糖質制限中でもあまり心配する必要はない食べものです。生食としてはもちろんのこと、ソテーや炊き込みご飯、フライなど様々な食べ方を楽しめます。しかし、調理方法によっては糖質やカロリーが高くなってしまう可能性もあるので、調味料や付け合わせの食材などに注意しながら、自分なりの献立にアレンジしてみると良いでしょう。
プロフィール

監修者:横川 仁美
管理栄養士。食と健康・美容を繋ぐ「smile I you」代表。
メタボリックシンドロームの人へ向けた保健指導を中心に、ダイエットサポート、電話相談、雑穀販売等のカウンセリング等を通して、のべ2000人の方に、食のアドバイスに携わる。目の前の人の「今」、そして「これから」を大切にした食の提案を目指している。
また、健康食育シニアマスターやマイ穀スタイリスト、ヘルスケア栄養ライターの資格も保有。