【料理家監修】ズバリ解決!たらこと明太子の違いは「漬け方」にあり!

デパートやスーパーに並んでいるたらこと明太子を見て、どうして味が異なるのか、何がどう違うのかと疑問に思った人も多いのではないでしょうか。この記事では、たらこと明太子の「辛さ」以外の違いや、それぞれの歴史などについてご紹介します。

【料理家監修】ズバリ解決!たらこと明太子の違いは「漬け方」にあり!

たらこと明太子の違い

たらこと明太子の違い

たらこ(鱈子)も明太子もスケトウダラ(介党鱈)の卵巣に調味料で味を付けた加工食品を意味し、本来は呼び方以外の違いはありません。まず、たらこは「鱈の子」に由来する言葉で、主にスケトウダラの卵を塩漬けにしたものを指します。一方で、明太子は韓国語の「明太(ミョンテ)」に由来する言葉です。「明太(ミョンテ)」は韓国語でスケトウダラを意味し、「明太(ミョンテ)」の子どもを明太子と呼ぶようになりました。しかし、現代の関東では唐辛子で辛味を付けた「辛子明太子」を明太子と言うことが多く、たらこと明太子は別々のものとして扱われています。以下では明太子と辛子明太子を同一のものとして、たらことの違いについて説明していきます。

漬け方の違い

たらこは塩や調味料、発色をよくするための色素などを含んだ調味液に、低温でじっくり漬け込んで作られます。一方、明太子はたらこと同様の漬け処理を終えた後に、唐辛子や酒などが調合された調味液に漬け込まれます。

栄養価の違い

たらこも明太子もたんぱく質が多く含まれており、筋肉をつけたり免疫力を高めたりとさまざまな効能が期待できます。また、ビタミンEやタウリン、パンテトン酸などのミネラルも豊富に含む、栄養価の高い食品です。しかし、いずれもカロリーや糖質はそこまで高くないものの、コレステロールや塩分も多く含まれているため、あまり摂りすぎないようにしてください。たらこに比べ明太子はカロリー、たんぱく質、脂質が少し低くなっていますが、糖質は若干高めです。また明太子は唐辛子(カプサイシン)を含むため、食欲増進・発汗作用があります。食べすぎると粘膜が刺激され、胃腸が荒れたり、咳が出たりすることがあるので注意してください。

たらこと明太子の歴史

たらこと明太子の歴史

たらこと明太子はどちらもスケトウダラという魚の卵巣から製造されています。スケトウダラは鱈の仲間で、茨城県以北の沿岸付近に広く生息しており、産卵期は1月から3月です。以下ではそんなスケトウダラから獲れるたらこと明太子の歴史や豆知識をご紹介します。

たらこ

たらこは元々朝鮮半島が発祥の地だと言われています。17世紀ごろ、朝鮮半島の人々はスケトウダラの卵巣を塩辛に加工して食べていたそうで、それが日本に伝わったのは江戸時代とのこと。また、たらこが庶民に広まっていったのは明治時代からです。明治30年代に入り、当時盛んに水揚げされていた真鱈が不漁になったことで、北海道の漁師たちはスケトウダラを代わりの魚として狙うようになりました。さらに彼らは卵巣部分も余すことなく活用できないかと考え、たらこが生み出されたのです。当時は地場での消費にとどまりましたが、大正時代に入り、全国的に食されるようになりました。たらこは辛子明太子と違って辛みがないため、さまざまな人に人気の高い食品です。その赤い見た目から石川県では、「紅葉子(もみじこ)」とも呼ばれています。

明太子

先に述べたように、朝鮮ではスケトウダラの卵巣が塩辛として食べられていました。これに唐辛子が加えられるようになり、明太子ができあがったのです。日本に明太子が伝わった所以については諸説ありますが、明治時代、樋口伊都羽(ひぐちいづは)という日本人が朝鮮半島に渡り漁業を営んでいたときに、捨てられてしまう卵巣を惜しんで作ったのが最初だと言われています。彼が作ったその明太子が朝鮮のみならず日本にも伝わっていたそうです。しかし、明太子が日本で有名になったのは、博多明太子を作り上げたふくやの創業者、川原俊夫氏の努力によるものが大きいでしょう。彼は終戦後、韓国から日本に帰国したのち、現地で食べていた明太子の味が忘れられず、これを日本でも再現するために10年の歳月を費やしたそうです。彼のレシピによって博多では明太子産業が広がっていき、それがさらに全国へと伝わっていきました。
明太子はピリッとした味が魅力で、パスタなどさまざまな料理のアクセントとして使われます。

まとめ

今回はたらこと明太子の違いや歴史についてご紹介しました。たらこと明太子は元々同じものを表していましたが、次第に辛味をもつ辛子明太子が「明太子」と呼ばれるようになりました。たらこは塩漬けをしたもので、それをさらに唐辛子の調味液に漬けたものが明太子です。歴史的にはどちらも朝鮮半島が発祥ですが、日本で広まったきっかけは、たらこは日本国内に、明太子は韓国にあります。栄養は両方ともたんぱく質などの栄養素が多く含まれており、身体にはよいですが、塩分濃度が高いため食べすぎには注意しましょう。どちらもそのままでも料理にも使える便利な食材ですので、適量を美味しくいただきましょう。

プロフィール

監修者:貞本 紘子

監修者:貞本 紘子

料理家。食育アドバイザー、幼児食アドバイザー。
岐阜県にて家庭料理、パン、ケーキの教室「colette」を主宰。
少人数制、初心者にも分かりやすく丁寧な指導で生徒数は6年間で述べ5500人。
「おうちご飯をもっと楽しく!」をモットーに活動中。