【管理栄養士監修】干し椎茸は戻し汁まで栄養たっぷり!栄養を逃さない食べ方紹介
旨味たっぷりの干し椎茸はどのように作られ、どんな栄養素、効果効能があるのでしょうか。この記事では干し椎茸の魅力について詳しく解説していきます。また、栄養を逃さないおすすめの食べ方もあわせてご紹介するので、ぜひ料理の参考にしてみてください。
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干し椎茸の作り方

日本の伝統的な乾物である干し椎茸ですが、どのように作られているのかご存じでしょうか? 採取した椎茸をただ干すのではなく、おいしく安全に長期保存できるよう、さまざまな工夫がされています。まずは、干し椎茸をどのように作るのか確認していきましょう。
干し椎茸の作り方1:収穫し汚れを拭き取る
収穫した椎茸は、石づきを切り落とします。表面の汚れは水洗いせず、キッチンペーパーなどでやさしく拭き取ります。スライスタイプにする場合は、ここで5mm幅の薄切りにします。
干し椎茸の作り方2:天日干しする
野菜干しネットに椎茸が重ならず、ひだが上になるように並べます。直射日光があたり、風通しがいい場所で水分が完全に飛ぶまで干します。目安は丸ごとの場合で1週間程度、薄切りで3日前後です。
なお、外干しでゴミやチリが気になる場合は、部屋の日光が入る場所で干します。途中から乾燥により軽くなるため、風に飛ばされないように注意してください。また、雨や湿度が高い日に行うと水分が残ってカビが生える原因になります。そのため、天気予報を確認してから行いましょう。
干し椎茸の作り方3:保存する
密閉袋に乾燥剤(シリカゲルなど)を入れて、冷暗所で保存します。もし湿気が気になってきたら、2~3時間天日干しをするとよいでしょう。
【管理栄養士監修】椎茸を日持ちさせる方法!冷凍庫・冷蔵庫での上手な保管方法椎茸は湿気と高温を嫌うため、冷蔵庫か冷凍庫での保存が適しています。さらに椎茸は、冷凍か天日干しにすると、うま味成分や栄養価がアップします。すぐ食べる場合も30分程度日光に当てたほうが、ビタミンDが増えうま味も出るためおすすめです。 今回は、いろいろな椎茸の保存方法のほか、新鮮な椎茸の見分け方についてもまとめました。
干し椎茸に含まれる栄養素とその効果・効能

干し椎茸にすると、生椎茸と比べて栄養素、旨味成分ともに含有量がアップします。その中でも、葉酸と食物繊維は、生椎茸に比べて豊富になります。
また、生椎茸に含まれるエルゴステロールという成分は、天日干しによってビタミンDに変化します。その量は生の椎茸に比べ、およそ8倍になるといわれています。
干し椎茸に含まれる栄養成分は、体の中でどのような作用が期待できるのでしょうか?
葉酸
椎茸に豊富に含まれる葉酸は、赤血球の形成を助ける栄養として知られています。葉酸同様に干すことで増える食物繊維には、腸内環境を整える作用があり、便秘の改善が期待できます。
エリタデニン
干し椎茸にはエリタデニンという成分が含まれています。このエリタデニンはきのこ類では椎茸とマッシュルームにしか含まれていないとても珍しい成分です。この成分は血圧を下げる働きが期待でき、生活習慣病の予防に役立ちます。
ビタミンD
天日干しによって増えたビタミンDは、カルシウムの吸収を促して骨の形成を助け、イライラを防ぐ作用が期待できます。
栄養を逃さない!おすすめの干し椎茸の食べ方

栄養・旨味成分豊富な干し椎茸は、余すところなくいただきたいものですね。そこで効率よく摂取できるおすすめの食べ方をご紹介します。
まず、干し椎茸をおいしく食べるためには戻し方が大切になります。さっと洗った干し椎茸は、全体が浸るくらいの冷水に入れ、最低5時間程度かけてゆっくり戻しましょう。こうすることで椎茸の旨味成分であるグアニル酸が水の中にたくさん出ます。ぬるま湯や砂糖を少し加えた水で戻す方法もありますが、旨味成分が損なわれてしまうので、おすすめできません。
干し椎茸の戻し汁には旨味成分はもちろん、食物繊維をはじめとした栄養も豊富に含まれています。ですので、戻した椎茸、汁ともに使える煮物やみそ汁、炊き込みご飯、うどんのつけ汁などにするといいでしょう。
また、干し椎茸にはカルシウムの吸収を助けるビタミンDが含まれているため、カルシウム豊富な乳製品との組み合わせがおすすめです。ポタージュやクリームコロッケに使うと、栄養価がアップするだけでなく、旨味成分がプラスされ、よりおいしくできますよ。
さらに、干し椎茸に含まれる葉酸をより積極的に摂取したい場合には、ほうれん草やアスパラガス、えだまめなどの葉酸を多く含む食材と組み合わせるとよいでしょう。
まとめ
干し椎茸は生の椎茸よりも栄養素、旨味ともに格段にアップする優れた食材です。紹介したように冷たい水でじっくりと戻せば、栄養、旨味たっぷりの戻し汁もでき、料理の要であるだしとしても使えます。戻し時間にためらいがある方は、スライスしたものを使ったり、前日に水に浸して冷蔵庫に入れておく習慣をつけたりするといいでしょう。また、余った戻し汁を小分けにして冷凍しておくのもおすすめです。
ぜひ、栄養も旨味もたっぷりの干し椎茸を日常的に上手に活用してみてください。
プロフィール

監修者:青木貴子
管理栄養士 一児の母
離乳食を通して見える子どもの成長を多くの人に知ってもらいたい!一度しかない離乳食期を楽しく過ごしてもらいたい!という思いから、フリーの栄養士として活動中。
食関連の記事執筆や、離乳食・栄養相談も行う。
日々の食事に関することから食材の使い方、ダイエットに関することまで、食にまつわる知識を幅広く発信している。